アイピー

 

自分がお仕事で、主に以下事項を担当しております。

 

 

なんじゃらホイ

 

 

電器製品に使われる半導体集積回路(LSI) の最も主要な部分は

で、ここで多様なデジタル処理を行っております。半導体集積回路中のデジタル論理回路は、人間で言うと脳の神経回路のようなもの(?)と言えるかと思います。

 

 

がしかし、人間は脳の神経回路だけで活動できるわけではありません。脳に外部からの情報を伝えるセンサ(例: 視覚、聴覚等の五感)や、記憶を保存しておく場所(例: 海馬)、活動のためのエネルギー供給(例: 心肺)、外部に結果を伝える出力(例:  筋肉)等、人間として脳の活動を支援する様々な "周辺機能" が必要となるわけであります。

 

 

 

半導体集積回路もそれに類似しておりまして、主要部分であるデジタル論理回路 (いわば脳神経回路) がその力を発揮するためには、それを支援する様々な周辺回路が必要となります。

 

周辺回路例:

  • 外部と情報のやり取りをするアナログ-デジタル変換回路、高速入出力I/F回路
  • 安定した電源を供給する回路
  • 動作タイミングを決めるクロック信号生成回路
  • データを保持するメモリ回路

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ということで、半導体集積回路(LSI) の主要部分はデジタル論理回路であるものの、それ単体で機能することは出来ず、様々な周辺回路が必要となります。

 

 

がしかし!

 

こういった半導体集積回路の周辺回路は "周辺"回路であるものの、技術的に特殊で設計が難しかったり、開発(=仕様策定/アーキテクチャ選定/設計/検証/試作/評価等)に膨大な工数が必要となったりします。その結果、半導体集積回路を開発する会社は、周辺回路について

  • 技術的難易度を考えると、自分たちでの開発が難しい
  • 失敗リスクを考えると、自分たちでの開発が難しい
  • 開発必要工数を考えると、自分たちでの開発が難しい
  • 開発必要時間を考えると、自分たちでの開発が難しい

といった状況に面するわけです。

 

 

で、さらに悩ましいのは、こういった周辺回路が標準的な規格物 (例えばUSB3.0とか)のだったりする場合、

  • 苦労して周辺回路を自社開発しても、それが製品の競争力に寄与しない

といったことになったりします。つまり苦労やリスクや人件費や時間が報われない開発。

 

 

 

では、どうすれば良いか?その解決策1つが

 

 

 

 

外部ベンダから、周辺回路をIPとして購入する (IP導入)

 

 

 

であります。

つまりは外部ベンダから周辺回路のIPを買ってきて、それを製品に組み込むということです。(主要部分であるデジタル論理回路は自社開発)

 

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一言で言えば「金で解決」で、外部からIPを調達することで

  • 技術的に難しい回路を自社開発する必要なし
  • 外部のIP開発ベンダにより検証済でリスク低
  • 他社ユーザの使用実績もあると更にリスク低
  • 開発工数節約
  • 開発時間節約

ということになります。

 

 

一方で、もちろん外部IP導入による懸念も存在しまして、一般的に非常に高価であることに加え、

  • 自社開発でないので (技術詳細が分からず)、トラブル発生時の対処が難しくなる (⇒ トラブル対処時、IP開発ベンダの協力が必要)
  • 自社開発しないと、社内に開発技術が蓄積しない (⇒ 何か事情が変わった場合に、自社開発に切り替えることが難しくなる)

といったことが比較的に大きな懸念になるかと思います。諸刃の剣。

 

 

とはいえ、背に腹は替えられない事情もあったりして、半導体集積回路を開発する会社は、周辺回路に関しまして

  • 自社開発の技術的リスク
  • 自社開発の失敗的リスク
  • 自社開発の工数的リスク
  • 自社開発の時間的リスク
  • 自社開発による製品競争力への影響有無
  • 外部IP導入のコスト
  • 外部IP導入した場合のトラブル対処方法
  • 外部IP導入した場合の技術継承方法

といった事項を勘案したりして、外部からIPを導入するか決めるわけであります。

 

 

で、自分は現在この "周辺回路の外部IPベンダ" に当たる場所で働いており、周辺回路IPを導入した 半導体集積回路開発会社に対し、IPの技術サポートを提供しております (冒頭の通り)

 

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外部導入IPと言うと「買ってきたIPをパコっと組み込めばそれでOK?」と感じる方も多いかと思うのですが、実際にはそれほど単純なものではなく、導入IPが半導体集積回路の中で意図した動作をするか様々な検証が必要です

例えば:

  • Simulationによる論理動作検証
  • 信号タイミング検証
  • 顧客開発環境中でのコンパイルとその検証
  • 物理配置配線とその検証
  • アナログ信号品質検証
  • 電源品質の検証
  • 出荷テスト回路の組み込みと検証
  • 出荷テストパタンの生成と検証
  • 信頼性の検証

等がで、上記それぞれに対して検証用のモデルが存在します。が、検証時に何かと問題が発生したり、「検証方法やOK/NG判断基準が良く分からない」といった顧客や、「そもそも仕様がよく分からない」といった顧客もいたりして、それらに対する技術サポートが必要になるわけであります。

 

(次回へ続く?)

 

さいたん

 

 

先日、某所で話題になっていたこちらの本を読んでみました。

 

 

 

「仕事ができるやつ」になる最短の道  / 安達裕哉 著

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いまさら仕事が出来る云々の本か、とも思ったりしたのですが、内容は腑に落ちるところが多くて面白かったです。

 

以下、内容から心に残った部分を引用。

 

続きを読む

はこね

いちおう、昨日で今年のお仕事が終わりまして、本日から年末年始の休暇期間になりました。Dec/29(水) - Jan/4(火) の 7日間が休みになります。

 

1週間という比較的にまとまった時間があり、かつ特にこれといった遠出予定もないので、普段思うように取り組めていない活動に取り組む or 計画を練るチャンスであります。ということで、以下のような事項に時間を使う予定です。(いつもながら)

  • 仕事業務の技術的Study & まとめ
  • 語学 (中国語)
  • 読書 (積読処理)

 

 

 

 

だがしかし!!!!

 

 

 

だがしかし、です。

 

 

 

お正月には、例によりまして、以下のような個人的かつ時間的キラーコンテンツが存在するわけであります。

 

箱根駅伝は言わずもがな、ニューイヤー駅伝も往年の箱根スターたちが集結し爆走する駅伝マニア的には超絶魅力的な大会であります。

 

 

ちなみになのですが、一般の方であれば駅伝は普通に視聴するだけだと思うのですが、一方で駅伝マニアである自分は、以下のような活動を常に行いながら視聴するわけであります。

  • 個々の選手のペース確認
  • 個々の選手の持ちタイム確認
  • 前後との差異確認
  • その後の展開と記録予想
  • 次の区間の選手の力を確認
  • 現在距離、残り距離確認
  • 天候、気温、風向き確認
  • ツイッターの確認
  • TV CM中はラジオに切替
  • SNS へ所感をアップ

 

上記のようなこともあって駅伝終了後は精神的に燃え尽きるので、その後 その日中は建設的な活動は行えなくなります。ということで、このような時間的・精神的キラーコンテンツである駅伝中継番組に対してどのように対峙するかが1つの個人的課題となっております。

 

 

 

 

といったところで、最近こちらを購入しました。

\(^o^)/ (観る気満々)

 

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個人的注目選手:

  • 田澤廉 (駒大3年)
  • 鈴木芽吹 (駒大2年)
  • 三浦龍司 (順大2年)
  • 野村優作 (順大3年)
  • 佐藤一世 (青学大2年)
  • 岸本大紀 (青学大3年)
  • 近藤幸太郎 (青学大3年)
  • 石田洸介 (東洋大 1年)
  • 中谷雄飛 (早大4年)
  • ヴィンセント (東国大3年)
  • 丹所健 (東国大3年)
  • 鈴木聖人 (明大4年)
  • 児玉真輝 (明大2年)
  • 吉居大和 (中大2年)

 

赤字は爆走してくれる可能性が高い選手です。最注目はやはり駒大 田澤選手ではないでしょうか。先日 10000mで日本歴代2位の記録(27分23秒)を出したスピードに加え、非常にタフで勝負強い選手です。失敗しない男。

田澤選手はエース区間の 2区を走ることがほぼ確実と思われますが、レースの流れ次第ではかなりの記録が期待できるのではと思います。(ちなみに前回も2区を走ったが、1区選手が出遅れた影響により、後方から追い上げる苦しい展開となってしまった)

 

そして  東京五輪 3000mSC 7位入賞の 順大 三浦選手も同様に注目の選手で、実力としては田澤選手と拮抗していると思われます。ただしレースのスタイルは異なっておりまして、以下のような違いがある感じです。

  • 田澤選手:自分からガンガン走るタイプ
  • 三浦選手:集団の中で様子を見るタイプ

この三浦選手をどの区間に起用するか?はなかなか悩ましいところのようでして

 

  • 1区は駅伝レース全体の流れを左右する重要区間 (大きく遅れると、その後の挽回が難しくなる) なので、確実に上位につけたい
  • また、1区は全員同時スタートの集団走になる
  • 三浦選手は集団走を得意とするので、1区に起用すれば 上位になる可能性が非常に高い
  • レース全体の流れを左右する1区で、ほぼ確実に上位につけるというのは、かなり魅力的である
  • しかし 集団走だと、三浦選手が 終盤のスパートで他校に競り勝ったとしても、そのタイム差は微々たるもの (10数秒とか)
  • 三浦選手のポテンシャル的に考えると、他校に対して10数秒程度の差というのは勿体なすぎる
  • それならば集団走を避けて三浦選手単独で大逃げして、他校に対して大きくリードする手もあるが、1区には他校もエース or 準エース級を投入する傾向があり、その場合は大逃げしようとする三浦選手がペースメーカとして他校に利用されてしまう可能性が高い。最終的には他校にリードを許すリスクもある
  • 他方、2区以降に三浦選手を投入するのはどうか?と言う話もあるが、20㎞以上の単独走で三浦選手が実力を発揮できるかどうかは (集団走と比較して) 確度が低い

 

ということで、三浦選手はどの区間に起用されるか!?というのも注目ポイントになります。

 

東国大のヴィンセント選手は言わずと知れた世界レベルの選手ですので、爆走は間違いないところでしょう。2区に起用された場合、駒大 田澤選手との並走があったりしたら熱いですね。

 

 

総合的な所感:

  • 優勝はやはり、総合力と安定感がある青学大
  • 駒澤大も総合力は素晴らしいが、どこかでブレーキしそう
  • 次いで 創価大、東国大、東洋大
  • 早稲田大は持ちタイム的には素晴らしいものの、層の薄さ&勝負弱さ&山が鬼門 で6位くらいに落ち着きそう (5区で失敗しなければ3位くらい行けるか?)
  • 順大も流れによっては上位あり得る
  • 中大、東海大は強いものの層の薄さが否めないので、シード争いか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Clean Bandit

自分は音楽グループ「Clean Bandit」がけっこう好きでして、彼らの曲をよく聞いております。

 

Clean Bandit

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特によく聴いている曲:

  1. I Miss You
  2. Solo
  3. Symphony
  4. Rather Be
  5. Higher

 

ワークアウト中や、仕事中に図を描いたりするときに、よく聴いております。(音楽を聴きながらだと作図が捗る。ちなみに、文字を書く系は逆にぜんぜん進まなくなるのでNG)

 

で、こちらのClean Bandit なのですが、日本がけっこう好きだそうで、その関係で日本で撮影したPVやライブの動画がけっこうあったりします。

 

例1:Solo の PV

youtu.be

 

例2:京都での無人ライブ

youtu.be

 

 

上記「Solo」のPVでは、以下のような、京都のお寺の渡り廊下が出てきます。

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また無人ライブ動画では、以下のようなお寺の本堂前で演奏が繰り広げられます。

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で、上記2つの動画についてちょっと調べてみたところ、両方ともに京都の「東福寺」というお寺が使われていることが分かりました。

 

東福寺の場所はこちら。京都駅からJR奈良線で1駅です。

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ということで(?)、今週の火曜日にこちらの東福寺に行ってまいりました。

ライトアップが綺麗とのことで、夜間参拝を予約。夜間参拝料金は1人 3,000円 で、なかなかお値段が張るのですが、その分 少ない混雑でゆっくり見ることができます。

 

 

↓夜間参拝の電子チケット (かなへい?)

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Solo の PVで使われていた 渡り廊下。

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無人ライブで使っていた本堂。

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かの釈迦像も見ることができました。

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ということで東福寺に行きまして、「ここでClean Bandit のPVやライブ撮影が行われたのですな!」と少し感動したのですが、でもそれよりも

  • 歴史ある寺院を、世界的アーティストのPVやライブ撮影に提供
  • 紅葉夜間ライトアップを実施し、1人 3000円の夜間参拝料を取りつつ、参拝者に高い満足度を提供
  • 予約は電子チケットでスマートに

といったすこぶる先進的な取り組みを進めている人はいったい何者なのだろう、住職だったらスーパー住職やな。。。などと思ったのでありました。

 

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カレンダー

自分は普段、テレビのYoutubeアプリで「TVBS 新聞」という、台湾のニュース番組をよく見ております。

 

ということで本日もその TVBS新聞 を見ておりますと、見逃せないニュースが飛び込んできました。

 

 

「空姐月曆疫情無法拍 選用比基尼舊照推出」

 

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こちらの話なのですが、まず前提として、台湾では「会社の社員(主に女性)を使ってカレンダーを作り、それを取引先に配る」 という文化があります。

 

 

で、本ニュースは以下のような内容になります。

  • 航空会社 が CA(空姐) を使って来年のカレンダーを作る
  • 以前であれば海外に行ってビキニの写真を撮っていたところ、今年はコロナの影響で海外に行けない
  • なので以前のビキニ写真を使ってカレンダーを作ることになった

 

ほのぼのニュースっすね。。。

 

 

【参考画像1】

このようなカレンダーのようです:

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【参考画像2】

カレンダーを持ってポーズする空姐たち:

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空姐カレンダー、自分も欲しいっす。

 

 

ところでこの

  • 女性社員を使ってカレンダーを作る(ビキニ有)

というのは日本では完全に怒られ案件で、場合によっては社会問題にまでなりそうな感じがするのですが、台湾では特に問題ではないようです。文化の違いっすね。。。

 

 

ちなみに自分は半導体業界なのですが、以前台湾出向をしていた際に、営業の方々がこの類のカレンダーを取引先から貰っていたのですが、数がそれほど無いとのことで自分は貰えませんでした。いまだ残念無念。

 

 

 

東京五輪マラソン 競技地である札幌の気候

東京五輪は 7/30 から陸上競技が始まりまして、陸上競技マニアである自分は現在非常に楽しんでいるところであります。

で、特に長距離マニアであり、かつ大迫傑のファンである自分は 男子マラソンが注目競技になるわけですが、このマラソンに関して、開催地札幌について以下のような記事が出ております (東スポ)

 

【札幌11日連続真夏日でマラソンが危ない!世界気象機関が異例の警鐘】

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(※東スポ)

 

この記事では「34度」などと非常に煽っておりますが、これはあくまで日中最高気温であり、午後1時頃の気温になります。(もちろん暑いのは間違いないのですけども)

一方でマラソン開始時間は朝7時、終了時間は朝9時あたりであり、このあたりの時間帯は比較的に涼しいと考えられます。では実際問題、マラソン競技の時間帯はどの程度の気温になるのでしょうか?

 

ちなみにマラソン競技のスタート時間なのですが、以下のような曲折がありました。

  • 原案:東京 / 朝7:30スタート
  • 修正案1:東京 / 朝6:00 スタート
  • 修正案2:札幌 / 朝7:00 スタート (これで確定)

もともとは東京で朝7:30スタート予定だったのですが、するとゴール時間は朝9:30頃になり、その頃にはかなり気温も上昇するので、こりゃマズいのでは…?的な議論が始まり、その結果 東京 / 朝6:00スタートに変更になりました。朝6時スタートというのは、朝早すぎて観戦もままなりませんし、ボランティア等の集合も難しくなると思われ、かなりすったもんだがあったようですが、やはりアスリートファーストということで(?)、選手の健康を考えて時間繰上されたようです。

 

がしかし!その後 2019年にドーハで開催された陸上世界選手権のマラソンにて、高温多湿が原因と思われる棄権者が続出する問題が発生し、その件が 東京五輪ラソンにも波及、再度すったもんだがあった末に、マラソン競技開催地が比較的涼しいと期待される札幌に変更されたのでした。

 

前置きが長くなりましたが、というころで「今回五輪のマラソン競技時間はどの程度暑いのか?」という疑問を解明すべく、調査してみることにしました。

 

以下、調査の方針となります。

  • 3つの案について、各地/各時間の温度/湿度を確認する
  • 日々のバラつきを抑えるため、上記 温度/湿度は過去1週間の平均値をとる
  • 上記平均温度/湿度から、WBGT (暑さ指数)を求める
  • 3つの案のWBGTを比較
  • スタート時間/ゴール時間の両方で比較する

 

ここでWBGTなる暑さ指数を求めるのですが、これは以下のように気温と湿度によって決まる値になります。例えば 気温27度/湿度85% であれば、WBGT=28。基本的に、気温・湿度ともに高くなると、WBGTも高くなります。湿度に大きく依存するのがポイントでしょうか。(※ただしこの表は直射日光による体感温度の情報は考慮していない)

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次に参考情報として、WBGT値と熱中症患者発生率の関係になります。以下のように、WBGTが28を超えると、一気に熱中症患者が増加するようです。なので、WBGTの1つの基準が28になるかと思います。

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ではまずは各案のマラソンスタート時間を見てみましょう (気象庁のサイトで確認)

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  • 原案(東京/7時半):26.6℃ / 82%
  • 修正案1(東京/6時):25.3℃ / 88%
  • 修正案2(札幌/7時):25.5℃ / 75%

原案に対して、修正案1は 気温が1.3℃下がってますが、湿度は逆に6%上昇しております。また意外にも修正案2 (札幌)は 温度が案1(東京)よりも高く、これは時間帯が 案1⇒2 で1時間遅くなったことが影響しているようです。ただし案2は湿度が大幅に低いです。

 

では上記からWGBTを確認してみましょう。

【マラソンスタート時間のWBGT】

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  • 原案(東京/7時半):26.6℃ / 82%  ⇒ WBGT=27程度
  • 修正案1(東京/6時):25.3℃ / 88% ⇒ WBGT=27程度
  • 修正案2(札幌/7時):25.5℃ / 75% ⇒ WBGT=25.5程度

意外にも(?) 修正案1はWGBTはほぼ同じ(27程度)となっております。気温は下がったのですが、代わりに湿度が上がって相殺されてしまっております。一方で修正案2は気温は修正案1とほぼほぼ同じものの、湿度がかなり低くなり、WBGTが1.5程度下がりました(25.5)。どちらも警戒レベルの範疇なのですが、修正案2はかなり安全方面になっております。

 

次にマラソンゴール時間 (スタート時間+2時間)を見てみましょう。

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  • 原案(東京/9時半):28.2℃ / 74%
  • 修正案1(東京/8時):27.1℃ / 81%
  • 修正案2(札幌/9時):27.5℃ / 68%

スタート時間から2時間経過しているので、各案ともに温度が2℃程度上がっております。ではこちらもWBGTを見てみましょう。

 

【マラソンゴール時間のWBGT】

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  • 原案(東京/9時半):28.2℃ / 74% ⇒ WBGT=28程度
  • 修正案1(東京/8時):27.1℃ / 81% ⇒ WBGT=27程度
  • 修正案2(札幌/9時):27.5℃ / 68% ⇒ WBGT=26程度

原案の場合は厳重警戒領域(WGBT=28)に入っていますが、修正案1は辛うじて警戒領域(WGBT=27)、修正案2はそこから余裕をもって警戒領域中(WBGT=26)になっております。

 

以下再掲ですが、こちらのデータを見ますとWBGT=26は ある程度リスクが抑えられている領域のように見えます。

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ただし上記は1週間の平均値で見たものなので、最後に本日8/1のケース(かなり暑い)と、参考としてドーハのケースを合わせて見てみたいと思います。

 

【8/1マラソンゴール時間、およびドーハ世界選手権時のWBGT】

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  • 原案(東京/8月1日/9時半):30.8℃ / 64% ⇒ WBGT=29程度
  • 修正案1(東京/8月1日/8時):29.5℃ / 76% ⇒ WBGT=29程度
  • 修正案2(札幌/8月1日/9時):29.5℃ / 70% ⇒ WBGT=28.5程度
  • ドーハ世界選手権(深夜):32.7℃ / 73.3% ⇒ WBGT=31.5程度

本日の場合、修正案2でもWBGT=28.5 と厳重警戒レベルに入ってしまいました。。。ただし原案/修正案1よりはマシであります。で、特筆すべきはドーハ世界選手権のヤバさ(WBGT=31.5)でしょうか。ただしドーハの場合は深夜で直射日光がなく、今回の東京五輪は朝で直射日光があることを考えると、こちらもけっこうヤバいような気もしてきました。

 

以下まとめ:

  • 東スポは「34℃」などと煽っているものの、競技時間帯は30℃未満と考えられる
  • WBGT的に考えて、札幌は東京と比較して若干マシと言える (WBGTが 0.5~1.5減)
  • 競技当日が平均的天候の場合、競技時間帯のWBGTは26程度であり、熱中症等のリスクはそれほど高くはなさそう
  • 競技当日が暑い方向に振れた場合、WBGTが28を超える可能性があり、熱中症等による途中棄権が増える可能性有
  • ただし今回参照しているWBGTは直射日光を考慮しておらず、天気が快晴であった場合、途中棄権が激増する可能性有
  • 途中棄権が続出したドーハ世界選手権はWBGT=31.5程度であり、今回の札幌と比較すると遥かにリスクが高い状況であったことが伺える (ただし深夜開催で直射日光なし)

 

ということで、WBGT値を使って調べてみたものの、直射日光の影響がどの程度影響するか良く分からないので、中途半端な纏めになってしまいました。暑いサバイバルなレースにはなりそうなのですが、どの程度のサバイバルになるかは当日天候次第のようです。ちなみに調べ出した当初は「札幌の朝方のレースであれば、それほど暑くないのではないか」と予想していたのですが、そうとも限らないようですね。。。

 

ちなみに今回マラソン日本代表の3選手 (大迫、中村、服部) は比較的に暑さ耐性が高いと思われるので(MGC等で実証済)、競技当日 暑い気候になる程、上位を狙える確率が増えると考えております。

 

ともあれ当日 (8/8) が楽しみっす

\(^o^)/

 

 

 

 

 

 

東京オリンピック 陸上競技の個人的見どころ

東京オリンピック開幕まで、あと10日あまりとなりました。

 

すったもんだの末 ほとんどの競技は無観客となり、盛り上がりに欠けそう感は拭えないのですが、とは言え世界レベルの競技を日々観戦できる訳ですので、それなりに(というか非常に) 楽しみにしております。

 

で、自分の主たる興味は例によって陸上競技(特に長距離)なのですが、自分の注目している競技および日程、日本代表選手は以下となっております。

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7月30日(金)
 ・男子3000m障害予選
   三浦龍司 (順大)
   山口 浩勢 (愛三工業)
   青木 涼真 (ホンダ)

 ・男子10000m決勝
   相澤 晃 (旭化成)
   伊藤 達彦 (ホンダ)

7月31日(土)
 ・男子100m予選
   山縣 亮太 (セイコー)
   多田 修平 (住友電工)
   小池 祐貴 (住友電工)

8月1日(日)
 ・男子100m決勝

8月2日(月)
 ・男子3000m障害決勝

8月3日(火)
 ・男子5000m予選
   松枝 博輝 (富士通)
   坂東 悠汰 (富士通)

8月6日(金)
 ・男子5000m決勝

8月7日(土)
 ・男子1500m決勝

8月8日(日)
 ・男子マラソン決勝
   大迫 傑 (ナイキ)
   中村 匠吾 (富士通)
   服部 勇馬 (トヨタ自動車)
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メダルに一番近い存在としては、3000m障害代表の三浦龍司選手ではないでしょうか。基本的な走力、スパートのキレ味、安定感、ハードル適性等、それら総合して世界レベルであると思います。オリンピックの大舞台でも物怖じせずに勝負してくれると期待。

 

その次はマラソンかと思うのですが、とはいえ日本のエース大迫傑選手を以てしても、キプチョゲ等 世界レベルのアフリカ勢選手との力の差は依然大きく、互角に渡り合うのは正直厳しいかと思います。ただし今回は日本人選手にとっては日本国内開催(札幌)という地の利があり、一方 外国人選手らは日本への渡航や移動制限措置等 (で最終調整が意図通りに進まない可能性) といったハンディがあります。そこに日本人選手各々の強み、具体的には

  • 大迫傑の総合力と経験値
  • 中村匠吾の暑さ耐性と切替スピード
  • 服部勇馬の抜群の安定感

等の何れかがうまくハマりますと、日本人選手メダル獲得のワンチャンスが巡ってくるのではないかと考えております。ちなみにワンチャンスと言う意味では、特に当日気候がかなり暑くなってスローペースでレースが進んだ場合、終盤 中村匠吾が激走する展開があり得そう。

 

10000m に関しては 相澤・伊達という日本陸上長距離界の新エースらの世界戦になります。この10000m についてなのですが、自分の考えるところ、世界レベルで戦うには以下の3要素が世界レベルである必要があります:

  • 2分42秒/km程度で長時間押す基本走力
  • 急激な揺さぶり(意図的ペース上げ下げ)耐性
  • 圧倒的スピード切替能力 (ラスト400mを55秒とか)

相澤・伊達選手はどの要素も世界レベルに達しているとは言い難く、それ故にほぼほぼ間違いなく惨敗するであろうという予想しております。(その一方で、相澤・伊達ならもしかしたら何か奇跡を起こしてくれるかもしれない、といった淡い期待があるのもまた事実だったりする。。。)

 

 

 

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