マインドフル

 

最近読んでいる本

 

【最高の脳で働く方法】

 

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自分はこの手の本 (仕事効率の改善に繋がる系) が好きだったりしまして、かつこちらは評判も良かったので、読んでみることにしました。

 

自分この本に期待したのは例えば、自分の以下のような課題に対するヒントです:

  • 自分がホストである会議中、相手の発音が聞き取れなかったり、相手の説明する内容が理解出来なかったり、予想外の質問が突然来た場合、ちょっと焦ってしまい、うまく対応できない事が少なからずある。こういう際は例えば「相手の言っているで内容に対する自分の理解をテキストにして、相手と一緒に確認する」等の方法でひとまずやり繰りしているが、そもそも焦らず対応できるように出来ないだろうか。
  • 「"重要かつ緊急"的な事案が同時に複数発生」といった場合や、「やむを得ず準備不足のまま会議に臨む必要がある」といった場合に、焦りが生まれて普段は出来る事もうまく出来なくなったりする。これまた現状や、やるべき事をテキストとして書き出す / 優先順位を付けるすること等で何とかやり繰りしているが、やはりもっとうまく対応できるように出来ないだろうか。

 

この本の目次:

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登場人物は基本的に以下の2人です

(1) エミリー (企画系?)
(2) ポール  (ソフトウェア技術系)

 

本の基本的な構成は以下のとおりになっております:

  • 2人は 仕事上の 様々な 問題/プレッシャー/課題 に直面し、それにうまく対応できず失敗するケースの紹介
  • 2人が 問題/プレッシャー/課題 に対応する過程中、彼らの脳内でどのような事象が起こり、それがどのように失敗に繋がったのかが説明
  • 脳内の起こる事象から考えて、失敗を防ぐためにはどうすれば良かったかを説明
  • 改善した場合のケースを紹介

 

 

本書中に登場する、プレッシャーに直面する一例:

午後0時45分。ポールはウェイターにメニューを戻す。

「それで、期日までにできると思いますか?」ミゲルと言う名の年配の役員が訊いた。ポールが前向きな返事をしようとしたとき、ふと過去のプロジェクトの記憶が脳裏に浮かぶ。そのクライアントも厳しい納期を設定してきた。焦ったポールはクライアントの真のニーズを掴み切れないまま作業を進め、結局納期も予算もオーバーしてしまった。

ポールは当時に戻ったかのように、いら立ちが蘇ってくるのを感じる。この感情を露わにはしたくない。むかつきを抑えるようとするが無駄なようだ。さらに悪いことに、物語回路が突然興奮して内的な思考に囚われてしまい、外から入ってくる情報が認識しづらくなる。ミゲルが質問してから少々時間が経ちすぎたことにもポールは気づかない。

8週間でこのプロジェクトを完了させるのに何が必要かを考えるのに、さらに時間がかかる。もはや納期を守れるか自信がなくなり、24週間ほどの時間が欲しいと言いたくなる。感情が乱れて明晰な思考ができない。

「できると思います・・・」といった後、ポールはこう尋ねる。

「ですが、もう少し余分に時間をいただくことは可能でしょうか?」

もう1人の役員のジルは困惑した表情を浮かべる。自分の質問に対するジルの視線に軽蔑が混じっているように思える。スーツの中で体温が上昇する。

「こうしたプロジェクトを実施する体制は整っていますか?」とジルは訊く。

今朝電話とコンピュータの電源を落としてミーティングの準備に専念し、こういった質問に答えられるようにしておけば良かったとポールは悔やむ。額に汗がにじむ。ジルが気づくのではないかと思うと、さらに汗が出る。自分の不快感を悟られまいと集中していると、たった今ジルが言ったことから注意がそれる。

「すみませんが、ご質問は何でしたか?」とポールは訊き返し、少し赤面する。

「ああ、そうでした。弊社の体制のことでしたね。おっしゃる通り、うちはとても小さな事業者です」とポールは答える。

「確かにうちは大企業ではないかもしれません」とポールは続けた。

「ですが、少なくとも地場の事業者です。このまま多くの仕事を海外に流出させ続ければ、この国はだめになります」。そう言い終えたとき、海外の競合他社の存在を示唆する概要書のコメントを思い出すが発言を撤回するには手遅れだ。

「まあ、私たちもこの国を愛してはいますが、プロジェクトが4分の1のコストで済むのにそうしないのはおかしいでしょう。それが海外の小売業者と競争する唯一の道なのですから」とジルは答え、ミゲルもうなずく。

ポールの胸騒ぎはさらに激しくなる。ミーティングはそれから30分間続き、いっそう厳しい質問が浴びせられる。…

 

準備不足状況で顧客役員と新規プロジェクトの相談に臨んで詰められるというもので、想像すると胃が痛くなりそうです。自分の場合は「製品不具合等の顧客会議に、準備不足のまま臨む」といったことがあり、それにちょっと近い感じがします。

 

上記なのですが、本書によれば以下のような説明がありました:

  • 大脳辺縁系は一瞬一瞬、自分らが世界をどう感じるかを決め、無意識に行動を駆り立てる
  • 大脳辺縁系は危険を察知すると興奮 ("情動"と呼んでいる) するが、プレッシャーもその"危険"の1つ
  • 大脳辺縁系が過度に興奮すると、さまざまな脳機能の低下(理解や判断力の低下、思考力の低下、状況への反応がネガティブになる等) を引き起こす
  • この情動への主な対応方法 (=大脳辺縁系の興奮を鎮める) としては (1)表出 (2)抑制 (3)認知変容の 3つで、この中で効果的なのは3つ目の認知変容 (苦境に追い込まれた後も、比較的遅い段階であっても、まだ違った捉え方をできる)
  • 認知変容は、さらに(3-1) ラベリング (3-2)再評価 に分けられる。
  • ラベリング:情動を受け止めた上で、情動を少ない言葉で言い表す (ラベルをつける)ことで、情動を鎮めることができる
  • 再評価:起こっている事象に対して、ポジティブ方向の解釈を選択する(=再評価する)ことで、情動を鎮めることができる (感情を抑制しようとするのではなく、最初に感情を生み出す解釈を変えることにより、大脳辺縁系の意識的なコントロールが可能になる) 

 

感覚的には何となく感じているような内容ですが、こうして言語化されていると明確になって非常に良い感じっす。自分も例えば仕事でプレッシャーを感じた際に、こういった対処法が役立つか試してみたいと思います…

 

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ちなみに上記の「再評価」なのですが、以下の本の内容を思い出しました。

アルケミスト

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この本の主人公は旅の途中、泥棒に全財産を盗まれてしまい、以下のような場面になります。

 

彼は自分のことをどろぼうに会ったあわれな犠牲者と考えるか、宝物を探し求める冒険家と考えるか、そのどちらかを選ばなくてはならないことに気が付いた。

「僕は宝物を探している冒険者なんだ」と彼は自分に言った。

 

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これは冒頭の本で言っている「認知変容の再評価」になるのかと思います。

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話は戻りまして【最高の脳で働く方法】についてなのですが、以下のような記述もありました。

 

多くの神経科学者が(脳内の) 演出家の概念を指すものを認める専門用語は、マインドフルネスである。元々は原始仏教の概念だが、今日では科学者によって、開かれたありのままを受け入れる心で今この瞬間に意識を向けている状態を指す言葉として使われている。

マインドフルネスは「今この瞬間」を生き、リアルタイムで起きていることに意識を向け、見えていることをありのままに受け入れるという考え方である。

 

最近何かと話題のマインドフルネスですが、上記を見て想起したものと言えば。

 

 

 

 

俺たちの松岡修造

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(発言は15年以上前のもの?と思われる)
 

 松岡修造は常にマインドフルな状態で生きていると思われます。

さすがや。。。