ペッパー

 

【マニアックな話になります】

 

どのような業界においても、仕事現場で何等かの統計情報を扱うことは良くあることだと思うのですが、自分の所属している半導体業界ももちろんその1つであります。

半導体業界といってもその範囲は広きに渡るのですが、自分の業務周りの場合、特に品質バラつきや製品歩留まり(良品率)等でよく使う感じです。

電器製品で今日使われている半導体というのは、基本的に膨大な トランジスタ(数10億個とか) が集積したものになっております。この1つ1つのトランジスタが電流を流して、それによって電気的な信号処理が可能になっているわけであります。

上記トランジスタの流す電流が電気的信号処理を担っている以上、このトランジスタの流す電流特性が非常に重要です。なので半導体工場でトランジスタを作製する際には、この電流値を規定の仕様範囲内に収まるよう、厳密に管理する必要があります。(トランジスタによる電気回路は、規定電流値の仕様範囲で動作するよう設計されている)

で、ここで統計の話が出てきまして、以下のような分布図が出てくることになります。

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トランジスタの作製装置や環境に特段のクセが無い限り、特性ばらつきはランダムなものになり、そういった場合には上記のような標準的な正規分布になります。(実際にはいろいろなクセにより、歪んだ分布になる)

 

 

で、以下はトランジスタが良好に作製されている場合です。仕様範囲に対して分布が狭く、非常に大きなマージンが得られています。

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マージンがあるのは基本的に喜ばしいことなのですが、ただし上記のようにマージンが非常に大きな場合、電気回路を設計する設計者側 (=トランジスタ使用者) からすると

  • 「こんなにマージンがあるなら、そもそも仕様範囲を狭めてほしい」

という感想を持たれることもあります。トランジスタ使用者側からすると、仕様範囲が狭い方が設計が楽になるからです。

 

逆にトランジスタがあまり良好に作製されていない場合の例が以下。

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仕様範囲に対するマージンが小さいので、場合によっては仕様範囲を逸脱するトランジスタが出てくるかもしれません。その場合、

  • 出荷テストでスクリーニング (=良品選別) 出来る場合は良品率の低下(=コストアップ)
  • 出荷テストでスクリーニング出来ない場合は 市場不良リスク (=顧客クレームや求償リスク)

といった望ましくない結果につながることになります。

 

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このような統計情報なのですが、ちょいと面白いと思ったデータが以下。

 男女配偶関係・死亡年齢別の構成比 (東洋経済より)

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補足のために一部加工したものがこちら:

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男性・女性で比較した際、以下のような傾向が見えます。

  • 有配偶 or 死別 の場合、死亡年齢の男女差異はそれ程ない
  • 未婚 or 離別 の場合、死亡年齢の男女差異が顕著

上記の結果、

  • 男性の場合 "未婚 or 離別" は 有配偶より死亡年齢が低いのに対し、
  • 女性の場合 "未婚 or 離別" は 有配偶より死亡年齢が高い デッドクロス現象が起こっている 

(※「デッドクロス」って単語を使ってみたかった)

 

以下は上記データからの考察。

男性について、配偶者がいないと死亡年齢が下がる理由の推測:

  • 配偶者がいないと、健康的な生活を送れない確率が高い
  • 健康的な生活を送れないような人は、配偶者を持てない確率が高い

 女性について、配偶者がいないと死亡年齢が上がる理由の推測:

  • 配偶者がいないと、健康的な生活を送れる確率が高い (ストレスが少ない?)
  • 自分で健康的な生活を送れるような人は、配偶者を必要としない確率が高い

※極めて個人的な考察です

 

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また統計の話関連で、陸上長距離好きの自分は以下のような分布をよく考えております。

一般的な日本人の5000m走タイム分布

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  • 最速は大迫傑の13分08秒。
  • 日頃あまり運動していないような人も含めると、35分程度 (7分/km)程度が中央値であろう
  • いちばん遅い人でも、60分 (12分/km) であれば走り終えるであろう
  • 陸上長距離競技者に限ると、中央値は25分程度になるかも

 

 

 

また、最近 目にした 以下の 件

 

ドクターペッパーを毎日3本飲みつつ、106歳の長寿を全うしたドクターペッパーお婆さん (Elizabeth Sullivan, 当時104歳、以下 ペッパー婆)

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一般的には自殺行為とも言えそうなドクターペッパー1日3本ですが、このペッパー婆はぜんぜん問題なかったようです。

 

ここでドクターペッパーを1日3本飲んだ際の健康への被害度分布を、上記ペッパー婆も含めて予想してみますと、以下のようになるのではと思います。

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自分の場合、毎日3本ドクターペッパーはほぼ間違いなく糖尿病等の健康被害を生みそうですが、このペッパー婆は恐らく糖分摂取に対しての超特異体質だったのでは考えております。例えば

  • 糖分が身体に吸収されにくい
  • 吸収されても血糖値が上がりにくい
  • 血糖値が上がっても体内への影響が少ない等々

毎日3本飲みつつ106歳まで生きたペッパー婆は、ドクターペッパー1日3本界において、陸上界における大迫傑のような存在であったのだと考えております。